人の見のこしたものを見るようにせよ。

すべての道は地理に通ず。

大分弾丸一人旅(プロローグ)

いま、大分県が熱い。

自他ともに認める日本地理好き、国内旅行好きであり、全国47都道府県のうち、宮崎県以外の全てを訪問&宿泊しているが、九州は全体的に弱いと言わざるを得ない。

大分県もその例に漏れず、高校の修学旅行で大分県を東西に横断したのと、仕事の出張ついでに2回別府に行っただけだ。

以前から何となく、個人旅行でじっくり訪れたいと思っていたが、ここに来てある大きな動機が生じた。

それは、来る「2019年ラグビーワールドカップ日本大会」で、大分市の「大分銀行ドーム」が試合会場に選ばれ、しかも、強豪国の大きな試合が組まれることになったことだ(予選に加えて準々決勝も行われる)。

これは、地理好き、旅行好き、ラグビー好き、(ついでにインバウンド旅行会社の社員)として、一刻も早く下見(?)に行くしかないということで、何とか妻子を説得して、新年1月5日の夜~7日に、2泊2日の弾丸一人旅をしてきた。

 

旅行の醍醐味の半分は、事前の計画と想像にあり。

出発までの準備期間に、現実的な旅行手配と並行して、興味が赴くままに地図を眺めたり、ネットサーフィンしたり、本を読んだりして、想像を膨らませるのは楽しいものだ。

今回は、一通りの手配と下調べを終えた後に、Amazonで古本の「風土記」(平凡社)を購入し、読んでみた。

「風土記」とは、「日本の奈良時代に地方の文化風土や地勢等を国ごとに記録編纂して、天皇に献上させた報告書」(by wiki)のことであり、その土地の特徴が簡潔に記述されていて、なかなか興味深い。

風土記が完全に残されているのは、「常陸」「播磨」「出雲」「豊後」「肥前」の五カ国だけであり、その中に現在の大分県南部に当たる「豊後」が含まれる。

また、現在の大分県北部及び福岡県北部にまたがる「豊後」の風土記も一部現存しており、平凡社版に収録されている。

 

「豊後国風土記」と「豊前国風土記」には、以下のような面白い記述があった。

①(現在の中津付近に)白鳥が飛来し、まず餅に化し、次に芋草に化して茂った。

②(速見郡田野は、)土地が豊かだったので餅を弓の的にした。すると、餅が白い鳥となって南に飛び去り、農民は死に絶え、荒地になった。

①は豊前に関する記述であり、土地の豊かさが伺える。実際、中津市付近を地図で眺めてみると、瀬戸内海沿岸に平地が広がっている。

一方、②は豊後に関する記述であるが、これは想像するに、火山の噴火で農地が荒地に帰ってしまったということか。

いずれにせよ、豊前と豊後は「白鳥」と「餅」の挙動が正反対であり、そこに気候風土の違いが表現されているのでは、と想像した。

 

風土記以外の情報源も含めて、自分の興味を引く大分県のトピックとして、火山と豊かな水、これらの合作による温泉、火山岩の文化(石仏や石橋)などが浮上してきた。

もちろん、旅の楽しみとして食と酒は欠かせないが、グルメというよりも地元食に興味があるので、こちらは現地での出会いに任せる。

 

さて、どんな風景に出会えることやら。

次回からの本論は、写真中心でお送りします。

f:id:wassy1974:20180308210750j:plain