自分の酒マリアージュ/ペアリング歴(?)と地理人として考えたこと
(長文です。無駄に長文です。)
なんか昨日から、修羅の世界ツイッターランドで「日本酒ペアリング」の議論(?)が大いに盛り上がっている。
自分は事の発端を知らないし、もちろん全ての発言を見ている訳ではないが、炎上とまでは言わなくとも少々荒れている感じだった。
最初に火をつけたのは日本酒ペアリングに否定的な人たちで、それに対して色々な意見が飛び交っていたようだ。
自分は他の方の議論には直接絡まず傍観していたが、興味のあるテーマなので、たまに自分が思うことをソロでぼそぼそ呟いていた。
実は、自分は「日本酒ペアリング/マリアージュ」が好きだ。
元々料理が好きで、その後に日本酒、さらには他の様々な酒にはまった身としては、当然の流れなのかも知れない。
そういう経緯があるので、自分にとって「日本酒ペアリング/マリアージュ」は、外で「体験する」というよりは、家で「やる」ものだという感覚がある。
では、自分はどのように「酒(日本酒に限らず)のペアリング/マリアージュ」という言葉を使ってきたかと、過去のツイッターを検索してみたら色々と引っかかったので、記事にまとめてみようと思い立った次第。
(注)「ペアリング」と「マリアージュ」は違う概念だという人も多いが、定義が混乱していて未だ定説は無いようだし、自分としては事実上同じ意味だと捉えている。
■過去のツイートに見る自分と「マリアージュ/ペアリング」
「好相性」
ツイッターを始めたのは2010年10月で、日本酒にハマって数年たっていたと思う。
この頃から日本酒と料理を合わせて楽しんでいたが、暫くは「マリアージュ/ペアリング」という言葉は使っておらず、もっぱら「相性が良い/悪い」と表現していた。
適当に惣菜を作って、家族と「僕らの酒 H22BY 火入れ」を飲んだ。4ヶ月の常温放置のおかげで益々どっしり熟成風味。刺身には全く合わないが、鶏肉のトマト煮とか、チーズ入りポテサラとは好相性! http://yfrog.com/kfq8hsjj
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2011年7月17日
昨年から日本酒とカレーの相性について考えている。「何も無理してカレーに合わせなくても…」という声もあるかもしれない。でも、それは違うんじゃないか。豊かになった日本の家庭料理はいまや和食から大きく逸脱していて、その広がりが逆に和食の世界にフィードバックされていると思う。(続く)
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2012年3月12日
特にこの頃は、カレーと日本酒の相性にご執心で、日夜実験を重ねていた模様。
2011~2015年頃は、自分で「マリアージュ」という言葉は使っていないものの、他の方による「マリアージュ」ツイートを引用したりしているので、既にかなり関心を持っていたものと思われる。
タモリ倶楽部と焼酎のマリアージュ
タモリ倶楽部(録画)と泡盛の相性は最強やね。マリアージュと言っても過言ではなかろう。
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2016年7月19日
そして、自発的に「マリアージュ」という言葉を使用した初めてのツイートがこれである。
酒と食ではく、酒とテレビ。
今でも、タモリ倶楽部と「焼酎の薄くなったロック」とか「バランタインの薄めの水割り」とかとのマリアージュは最高だと思っている。
「マリアージュは恥ずかしいからペアリング」理論
少々話は逸れる。酒友が食と酒の「マリアージュ」と「ペアリング」はニュアンスが違うと提起をしているが、自分としては、日本人にとって「マリアージュ」という言葉が恥ずかしいので、「ペアリング」に言い換えられつつあるという見解。
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2016年12月5日
そして、どうやら2016年には「ペアリング」という言葉に出会っていたようだ。
自分は言葉の「俺定義」を考えるのが好きで、ここでも「ペアリング」の俺定義をカマしている。
うん、なかなか良いこと言うではないか。実は今でも「マリアージュ/ペアリング」の違いなんてその程度だと思っている。
焼酎とラグビー動画のマリアージュ
焼酎お湯割とラグビー動画のマリアージュが最高過ぎて、昨晩は少々飲み過ぎた模様。。。
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2016年12月17日
これは「食と酒」ではないマリアージュの第二弾。
その後、ラグビーのお供の座はウイスキー(スコッチ、アイリッシュ)に取って代わられた。
喧嘩マリアージュ
「北島秀樹 ツヴァイゲルト」を開栓。ワイン単体だと品行方正なバランス派だが、熱海で買ってきた猪ソーセージと合わせてみると変化。ソーセージの塩気とスパイスが、ワインの味の全ての要素を増幅し、飲んだ後のキックバックが獣臭くなる。これは喧嘩マリアージュ系か。むっちゃ楽しい。 pic.twitter.com/2VWRWNEGe1
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2017年3月18日
喧嘩はマリアージュと言えるのだろうか?
格闘技の名勝負を見ているような感じだったのか?
「あー美味い」「あー美味い」の往復
食べ物に合うといっても、マリアージュというほどガチでもなく、邪魔をしないというほど無個性でもない。その現代的中庸さ故に、シンプルに飲んで「あー美味い」食って「あー美味い」の往復を楽しめる。これはむっちゃ好き。 https://t.co/byfJYWncko
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2017年5月15日
こういうのが一番好きなんですよ。
「凸と凹で合わせる」とか「第三の味を生み出す」とかそういう緻密な感じでなく、何となく共存する感じ。
日本酒(特に火入れの日常的な味わいの酒)ならではでしょう。
「これでいい」マリアージュ
いわゆるマリアージュとかペアリングではない。所詮はただのメシと酒。「これがいい」というよりは、「これでいい」に近い。
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2017年11月22日
これも上のと同じ路線。
但し、ちょっと「マリアージュ」とか「ペアリング」に疲れてきた雰囲気が漂っている。
「マリアージュ」じゃなくて同調
カマスのアクアパッツァに旭菊、安心する組み合わせやなー。これはマリアージュじゃなくて「同調」という感じで、極めて日本的な組み合わせだ。 pic.twitter.com/iJRhsBPGHy
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2018年7月12日
そこはかとなく漂う「日本酒マリアージュ」に対する疑念。
焼酎と日本酒のペアリング
焼酎と日本酒のペアリング(交互に飲んで味の変化を楽しむ)の実験台として弄ばれております。 pic.twitter.com/hsAUKLlvyr
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2018年8月29日
俺たちの「玉箒」。
たまに液体と液体のペアリングをやってくれるのが楽しい。
「ビールとトマトジュースを交互に飲む」というペアリングもあったな。
焼酎と甘味のマリアージュ
ザッツ・マリアーーーーーージュ!!! pic.twitter.com/PQBnA1hkFf
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2020年1月20日
もう最高なんですよ。
甘いものが好きな方は、是非「米焼酎or泡盛×和菓子」を試して欲しい。
そして今晩のペアリング
我が家のペアリングディナー!(サパー?) pic.twitter.com/XCoYcUwZL6
— わっしー@兼業主夫・地理講師・旅行ガイド (@wassy1974) 2020年1月31日
何事もなければ「マリアージュ」を使っていたと思うが、時代に日和って「ペアリング」を使ってしまった。
自分の「マリアージュ/ペアリング」探求の原点であるカレーに戻ったということで、感慨もひとしお…という程でもない。
結論:日本酒の「ペアリング/マリアージュ」を「やる」のは楽しい
賛成も反対もございません。
自分は自分で楽しむ。
他人のことはどうでも良いです。
■いま日本酒のペアリングについて思うこと
自分が日本酒の「ペアリング/マリアージュ」を考える上でとても参考になった文章を貼る。
出典:日本酒のこれから
日本酒のこれから - ほぼ日の塾 発表の広場
以下、引用。
白樫(剣菱酒造の社長)
日本酒の会を開催するために、
フランスに行く機会も多いんですけど。
その時に、
「日本はこんなにも、
食べ物にうるさいのに、
どうしてソムリエがいないんだろう?」、
と思ったんですね。
ともみ(日本酒ライターの方)
今ようやく試みがあるくらいで、
歴史的にソムリエみたいな人はいませんね。
白樫
考えていくと、日本は、
地元の料理と地元の酒を合わせていたら、
外れることなかったんじゃないか、と。
人の大移動みたいなことも、
そんなにある国じゃないですしね。
ともみ
フランスのワインだと、
ぶどうを育てるのに適しているのは、
痩せた土地ですものね。
他の作物がなかなか育たない。
だから、
よその食べ物と合わせて提案することが、
必要とされたのかもしれませんね。
白樫
酒にその地域性が残っていたのは、
味が集約される前の酒。
たとえば、昔の1級2級の地元の酒。
それって実は今思えば、宝の山だなあと。
初めての土地を訪れて、
地元の居酒屋さんで地元の酒と食事があれば、
100%おいしいものを味わえる。
これって観光資源になるし、面白いですよね。
穂坂(農大の先生)
うんうん。
白樫
フランスで、ソムリエさん相手に、
日本酒の説明をさせてもらったんです。
その時に
「日本酒は地域特性による偏りって、
どれだけ、どうあるんですか?」という質問があって。
ともみ
あちらの方はそういう視点で見ますもんね。
白樫
それが、今フランスに入ってるお酒って、
ほとんどが純米大吟醸系で。
みんな山田錦を使って、かつ香りの華やかなもの。
正直地域特性っていうのは、出にくい。
そういうものが流通しているんです。
穂坂
(地域性は)出にくいですね。
白樫
酒蔵ごとの特性っていうのはありますけど、
「この地域はこうです」っていうのはなかなか。
「あぁ、ないです…」と。
穂坂
そうかもしれませんな。
白樫
「水のミネラルに違いがあるのに、
なぜ偏らないんだ?」って。
本当はあって、日本国内では流通してるんだけど、
今フランスに輸入されている物にはない。
ソムリエさんたちはみんな、
不思議そう、そして残念そうな顔をしました。
ともみ
あぁ…。
白樫
今後は、世界も見ていくからこそ、
もっと地元に目を向けなければならない。
そう最近強く思うんです。
大昔から江戸を見てきたうちが言うのも、
何なんですけど(笑)
引用は以上。
そして、これに対して、地理を専門とする自分としての解釈をつらつらと書く。
安定した大陸であるヨーロッパや米国は、荒野の場所はひたすら荒野、肥沃な場所は延々と肥沃という感じで、一つ一つの地形地質のユニットが大きい。
つまり、狭いエリアだとわずかな種類の産物しか手に入らないので、遠くのもの同士をわざわざ合わせる文化が発達する。
それに対して、4つのプレートの境界にあって地殻変動でもみくちゃにされ続けている日本は、様々なタイプの地形や地質が狭いユニットにひしめいている。
つまり、狭いエリアでいろいろな種類の産物が手に入るので、同じ地域のもの同士で済ませる文化が発達する。
なので、先ほどの対談で交わされていた「環境の違いが飲食の文化に影響を及ぼす」という議論は、とても納得できる。
日本酒でペアリング(マリアージュ)が求められるようになったのは、酒造技術の発達によって「地域から解き放たれたモダンな酒」が出現したからだと思う。
高度な技術によって地域から解き放たれた酒は、その一方で「根無し草」でもある。そこに新たな息吹を与えることが出来るのが「ペアリング/マリアージュ」ではないか、という解釈もできるだろう。
そして、やはり真の「地酒」は地元に残った普通酒であって、そこには「ペアリング/マリアージュ」などは不要なのだと思う。
いやぁ、こういうふうに、誰にも求められていない事をぐちゃぐちゃ考えるのはとても楽しい。
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最後に、これでも読んでほっこりしてくださいませ。
何を吠えても、結局ユーモアには敵いませぬ。。。
誕生日にお揃いのペアリングを買って欲しいとねだる女子大生#ペアリング pic.twitter.com/tFQi6B1AxC
— フジワラヨシト (@fuji25) 2020年1月30日
うまくペアリングが出来ない人#ペアリング pic.twitter.com/nmDrkgmJeM
— フジワラヨシト (@fuji25) 2020年1月30日
<了>