人の見のこしたものを見るようにせよ。

すべての道は地理に通ず。

田植えで「原点回帰」してきた。

今から約10年前、日本酒にハマってそんなに経っていなかった頃。
引越したばかりの神奈川県で、休日の暇を潰せそうな面白い活動はないかなーとネットで調べていたら、「僕らの酒」という面白げな活動を見つけた。

活動内容はタイトルそのまんまで、NPOの会員たちが自分たちで酒米を栽培して、それを酒蔵に委託して日本酒にしてもらうというもの。

参加する前は、全国各地の「棚田オーナー」みたいな感じで、地元の農家さんがお膳立てをしてくれて、一般参加者は田植えとか稲刈りとか美味しいところを摘み食いする感じかなー、と想像していた。

ところがどっこい(古臭い言い方だが、本当に「どっこい」」という言葉がふさわしい)。
実際に参加してみると、いちおう指導してくれる方はいるものの、作業は全部自分たちでやるという、アントニオ某氏も真っ青のストロングスタイル。

いやぁ、ビビりましたね。そして楽しくてね。
何せ最初は、10年間使っていなくて草ボーボーになっていた耕作放棄地を、人力で開墾するところからスタートだったからなー。。。あの年は本当にキツくて、そしてむちゃくちゃ楽しかった。。。
農作業の方も、最初の籾殻の塩水選から始まって、種まき、苗床づくり、畦作り、水入れ、代掻き、田植え、畦草刈り、雑草取り、稲刈り、脱穀、籾摺りまで、一通り体験(というかガチ作業)をやった。

だいたいの経緯はこんな感じ↓
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もう一つ新鮮だったのは、自分たちで育てた酒米(当初は食用米、途中から山田錦)から造ってもらった日本酒が「90%精米」だったということ。
当時はここまで低精白の日本酒を飲んだことがなかったが、思い入れが半端なかったし、そのうえ当時から「高精白」と「吟醸造り」は好みではないなーと感じたので、一気に低精白日本酒の魅力に引きずり込まれた。


そんなふうにハマっていた「僕酒」も、結婚して子供ができてからは、すっかり足が遠のいていた。。。
が、長男が5歳、次男が3歳になってアウトドアに連れていけるようになったので、今シーズンから復活してちょいちょい通っている。

息子ズは、虫やカエルを追いかけたり、泥遊びに興じたりしてむっちゃ楽しんでいる。

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そして、相変わらず田んぼの昼飯はレベルが高い。

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4年ぶりくらいの田植えは、長男が真剣に苗を植えまくって、父ちゃんはむちゃくちゃ嬉しかった。
次男が田んぼを恐れず、泥まみれになって遊んでいたことも、父ちゃんはむちゃくちゃ嬉しかった。

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↓長男が頑張って植えたエリア(のごく一部)
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子連れということで以前のようにガッツリ作業という訳にもいかないが、それでも、田んぼに関わることは酒好き・米好き冥利に尽きるなーと思わざるを得ない、

今年は茅ヶ崎の熊澤酒造に酒造りをお願いするということで、どんな酒になるか楽しみだ。
いや、その前に、豊作となってくれることを祈るばかり。

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最後に余談。
人が酒に求める物事は様々だと思うが、自分は圧倒的に「農産物」であることを求めている。
つまり、酒の原材料になっている米と水、そしてそれらを生み出している「風景」を求めている。
それはきっと、自分と酒との関わりの原点が「僕らの酒」の活動であることに大いに影響されているのだろう。

だから、近年よく耳にする「日本酒は自然が造るもの(=農産物)ではなく、人が造るものだ」という主張は、はっきり言って大っ嫌いだ。
そんなに「人が造る」ものにしたいのだったら、お前らは合成清酒を徹底的に極めろ!米を使うな!!水道水で仕込め!!!と思う。
(なお、あくまで個人的感情として「嫌い」なのであって、間違っているとは言っていない。むしろ理屈としてはそっち方が正しいと認めている)。

そんなふうに自分の原点を再確認できたので、また「僕らの酒」に参加して本当に良かった。
今シーズンも目一杯楽しんで、年明けには美味しい低精白酒を楽しみたい。

注:現在は「大磯農園」というプロジェクト名に変わり、「僕らの酒」はその活動の一つとなっている。
oisofarm.com
<了>