【ウイスキー1周年特集<前編>】 次々に覚醒する「アクワイアード・テイスト」
さて、ついにウイスキーを買って自宅で飲むようになってしまった、わっしーさん。
その後の初級者ならではの迷走っぷりと、少しずつ経験値が上がっていく(上がっているのか?)様子を、「アクワイアード・テイスト」という言葉を軸に書いていこう。
なお、まだ「序」を読んでいない方は、こちらからどうぞ。
【ウイスキー1周年特集<序>】日本酒ファンの自分がウイスキーを飲み始めた理由 - 人の見のこしたものを見るようにせよ。
■「アクワイアードテイスト」とはなんぞや?
Google検索で最上位に出てくるサイトから引用。
味覚には「経験値を重ねる事で好きになる臨界点」があり、その臨界点より前までは「おいしい」 と感じないタイプのものがあります。「アクワイアード・テイスト」 、 つまり 「後天的な味覚」 と言われるものです。子供の時、「大人はどうしてこんなものをおいしいっていうのだろう?」と思っていたのに、いつの間にか好きになった食べ物はありませんか?あれです。
出典 http://gochikai.com/enjoyment/275/
■後天的味覚その1:フルーティー(エステリー)
自分はフルーティー(エステリー)な日本酒がとても苦手だ。
また、バナナの香りがするビールも、どちらかと言えば苦手だ。
なので、きっとフルーティー(エステリー)な酒全般が苦手なのだろうと思い込んでいた。
ところが、樽熟成の酒を色々と飲んでいるうちに、「樽+エステルなら大丈夫なんじゃないか?」と思い始めた。
そしてウイスキーを飲んで完全に開眼した。
昨日のこと、去年最も感動したウイスキーであり、かつ最も感動した酒かもしれない、アイリッシュウイスキー「ティーリング」を買ってきた。新橋某所で飲んだ上級品とは比べるべくもないが、桃っぽいエステリー香りがブワッと広がるのは共通している。これは!!!美味いぞ!!! pic.twitter.com/keNXqi9avk
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2018年1月28日
めっちゃ久々のオールドグランダッド、やっぱりアメリカンウイスキーの好みのど真ん中だ。バナナっぽい濃厚エステリー&まったりオイリー全開だが、同時にいかにもライ麦というスパイシー風味で引き締まるところが素晴らしい。 pic.twitter.com/RQCRagReVn
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2018年6月4日
以前から飲みたいと思っていた台湾のウイスキー「カバラン」を初めて試飲した。いや、これ、むっちゃ美味くかつオモロいわ。短期熟成とは思えない円熟味とか、南国っぽい濃厚かつフルーティーな香りとか、台湾で造る意味をビシビシと感じる。
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2018年7月4日
バナナの香り最高!!!
桃の香り最高!!!
南国フルーツの香り最高!!!
HAHAHAHAHAHA!!!
ついでにこんな実験もしてみた。
フルーティーでどうも苦手な生原酒(6年熟成)を、10日間ほど樽で寝かせてみると、上立ち香が気にならず普通に飲めてしまうという不思議。エステルと樽のマジックか。。。 pic.twitter.com/m6zCRL4Dd1
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2017年9月22日
でも、フルーティーな日本酒は相変わらず苦手なのだ。何でやろ。。。
■後天的味覚その2:スモーキー
ウイスキーと言えば「スモーキーフレーバー」。
そして、スモーキーと言えば「アイラ島」。
そういう思い込みがあったので、近所で手に入る唯一のアイラモルト「ラフロイグ」の安いやつを買ってみた。
ここんとこバーボンっぽいのばかりだったので、無性にスコッチ系が恋しくなり、近所のスーパーのラインナップの中で最も癖があるラフロイグを買ってきた。うん、改めて、バーボンの薫香とは明らかに異なる煙香と、ヨードを通り越して正露丸っぽい風味が笑える。好きかっつーと??だが、確実に楽しい。 pic.twitter.com/ny3VElNGfG
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2017年7月23日
そして、会社の近くのシングルモルトが充実しているバーで、カリラ、ボウモア、アードベッグ、ラガヴーリンなどのアイラモルトを立て続けに飲んでみて、どれも「面白い」とは思ったものの、相変わらず「美味しい」とは思えなかった。
どうやらスモーキーなウイスキーはそれほど好きではないのかなー。。。と思っていたところに、意外なところから突破口が開けた。
来る者あれば、去る者あり。ティーチャーズをフィニッシュ。近所のスーパーとかで買えて、かつお手頃価格(1000円そこそこ)のウイスキーとしては非常に素晴らしかった。自宅でちょっとスモーキーなのを飲みたいなーという時に、また買いたい。 pic.twitter.com/0roIkvyFJt
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2018年4月25日
「ティーチャーズ」はその辺のスーパーで1000円程度で手に入るお手軽ウイスキーだが、そこで始めて「スモーキー」がアクワイヤード・テイストになったと実感した。
これは、ティーチャーズのスモーキーさが控え目なこと、そして自宅でゆっくり繰り返し飲んだことが、効を奏したのだと思う。
それ以来、スモーキーフレーバーは「面白くて美味しい」ということで、抵抗無く飲めるようになった。
目下スモーキーなアイラモルトで一番気に入っているのは「カリラ」だ。
■後天的味覚その3:潮
ウイスキーが好きな人の話を聞いたり、ウイスキー関係の文章を読んでいると、味わいの表現として「潮」という言葉が良く出てくる。
最初は正直言って全く味覚では理解できず、ネットで検索すると、どうやら前出のアイラモルトは「スモーキーかつソルティ」であるらしい。
でも、当時はいま一つピンと来ていなかった。
うーむ、言われてみれば、どのアイラモルトも海藻のような香りがする。。。いや、海藻というよりヨードチンキか。。。
ブナハーブンはピートはかなり控え目だが、むっちゃ潮~ヨード感があってエエな。アイラっぽく無いっちゃー無いが、家飲みウイスキーはこのくらいがちょうど良い。 pic.twitter.com/J20bIj7uH3
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2017年11月13日
そんな頃に、あるバーで「潮っぽくて分かりやすいのください」と頼んだところ、「タリスカー」というウイスキーを出された。
香りの時点でもう「これが潮かも?」という予感があった。
そして、一口含んで「これが潮に違いない!」と確信した(合っているかはいまだに分からんが)。
その時に飲んだのはたぶんこれ↓
後から振り返ってみれば、アイラモルトは「潮」以外の要素も分厚いので、初心者かつ味覚が鈍い自分は、そこから「潮」を分離して感じられなかったのかもしれない。
それに対して「タリスカー」は、他の要素がシンプルなぶん、「潮」を感じやすいのだと思う。
そして、タリスカーが大好きになり、見事に「潮」がアクワイアード・テイストに仲間入りした。
いまバーで最も良く飲むシングルモルトは、 どこにでも置いてあり、お手頃価格で、味わいも好みの「タリスカー10年」だ。
■後天的味覚その4:ブレンデッドの良さ
さて、いよいよ最後。
これを味覚と言って良いかは微妙だが、いまの自分にとって重要なことなので、敢えて取り上げる。
スコッチ&アイリッシュウイスキーには、大きく以下の二種類がある。
「シングルモルト」: 一ヶ所の蒸留所で作ったモルト(発芽大麦)ウイスキーだけをブレンドしたもの
「ブレンデッド」:複数のシングルモルトにグレーン(大麦以外のとうもろこし等の穀物)を加えたもの
※あくまでも簡略化した説明
ウイスキーに興味を持って色々な情報を集めていると、ウイスキーファン/マニアの間に「シングルモルト至上主義」とでも言いたくなるような風潮があり、ブレンデッドウイスキーを下位に見る向きがあるように感じられた。
これは、日本酒で言うところの「純米酒原理主義」に近い。
そして、ブレンデッドウイスキーにおける「グレーンウイスキー」は、日本酒における「醸造アルコール」と立ち位置が近いのではないかと思っている。
実は、自分は、日本酒の中では「純米酒」が一番美味と感じているし、正直言ってこれからは「純米酒の時代」だとも思っている。
でも、往々にして「純米酒原理主義」の人々は、醸造アルコールを添加した日本酒について、「あんなのはインチキな酒だ」「本物の日本酒は純米酒だけだ」と言って、必要以上に貶める。
自分は「好きなものを世に広めるのためには、そのものの素晴らしさをアピールすれば良いのであって、嫌いなものを貶める必要は無い(むしろマイナス)。」だと思っている。
だから、純米酒は好きだが、純米酒原理主義の人とは仲良くなれない。
日本酒に関してそういう思いがあったので、ウイスキーについても、「シングルモルト」だけではなく「ブレンデッド」も積極的に飲んでみようと意識してきた。
そして、ブレンデッドにはブレンデッドの魅力があることに気づいた。それは一言で言えば「日常性」だ。
- ①価格の日常性 : 原価が安いグレーンウイスキーが入っているため、低価格の者が多い。
- ②味わいの日常性: ブレンドによって個性が緩和されており、「毎日飲める飽きのこない」味になっている。
- ③購入の日常性 : 生産量・流通量が多いため、その辺のスーパーやコンビニで手に入ることが多い。
この「ブレンデッドの良さ」に気づいたきっかけとして、特に鮮烈な出来事があったという訳ではなく、「自然といつの間にか…」という感じだった。
近所のスーパーで何と無く買ってきた「タラモア・デュー」。おそらくアイリッシュど真ん中のソフト&スムーズな味わい。キャラメルのような甘さはあるが、バーボンほどしつこく無い。仄かに香る柑橘やスパイスが良いアクセント。こいつは「いつの間にか減っている」というタイプかも知れんな。。。 pic.twitter.com/N9jNN3tR6e
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2017年10月29日
マルスウイスキー「3&7」をフィニッシュ。これは1000円そこそことは思えないくらい素晴らしい。ウッディ、メロウ、そしてスムーズ。日常に相応しい穏やかな味わい。レトロなラベルと瓶の装飾も素晴らしい。これはリピート確定やなー。 pic.twitter.com/eoQDq9HTqX
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2018年6月20日
「デュワーズ ホワイトラベル」は実買1500円程度のお手頃ブレンデッドウイスキー。その味わいは、シェリー、スモーキー、スパイシー、ウッディなどの要素はどれも「そこはかとなく」感じられる程度で、全体として穏やかにまとまっている。日常の「寛ぎの酒」という風情がとても良い。 pic.twitter.com/McZGiEtJCE
— わっしーと呼ばれています。 (@wassy1974) 2018年7月11日
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こうして、ウイスキーの様々な味の要素を経験し、本当に「美味しい」」と思って飲めるようになった。
最後に、ウイスキーとアクワイアード・テイストについては、下記の超名文がある。
このサイトに飛ばれてしまうと、誰も戻って来てくれなくなりそうなので、最後まで引っ張ったのだ。
onemore-glass-of-whisky.blogspot.com
次の中編では、ブレンデッドウイスキーの魅力について書いてみようと思う。
<続>